測定器はすべて定期的に校正が必要? – ISO9001に基づく判断基準とQCメイトMDでの効率的な管理

製造業や品質管理部門で計測器を扱っていると、「すべての測定器を定期的に校正しなければならないのか?」という疑問はよく聞かれます。
校正の重要性は理解していても、「どこまでが対象なのか」「不要な校正を減らせないか」「上司や監査で説明を求められた際に根拠を示したい」と悩む管理者も少なくありません。
この記事では、ISO9001の要求事項を踏まえ、校正が必要な測定器と不要な測定器の区分、およびシステムを使った効率的な管理方法について整理します。

要点(結論)

  • すべての測定器を校正する必要はありません。
  • 校正が必要なのは、製品品質に直接関係する測定器のみです。
  • 品質に関係しない器具は「管理対象外」として区分・表示し、誤使用を防止します。
  • ISO9001は「識別と区分」を重視しており、ラベルや台帳で状態を明確にすることが重要です。
  • 管理システム(例:QCメイトMD)を使えば、一元管理と監査対応が容易になります。

1. 校正が必要な測定器とは

まず前提として、すべての測定器が定期校正を必要とするわけではありません
ISO9001では、「品質を保証するために使用する測定機器」を適切に管理し、信頼性を確保することを求めています(以下は該当条文です)。

ISO9001:2015(JIS Q 9001:2015) 7.1.5.2項(測定のトレーサビリティ)
測定のトレーサビリティが要求事項となっている場合,又は組織がそれを測定結果の妥当性に信頼を与えるための不可欠な要素とみなす場合には,測定機器は,次の事項を満たさなければならない。 
a) 定められた間隔で又は使用前に,国際計量標準又は国家計量標準に対してトレーサブルである計量標準に照らして校正若しくは検証,又はそれらの両方を行う。そのような標準が存在しない場合には,校正又は検証に用いたよりどころを,文書化した情報として保持する。

上記の観点から、以下のような機器は校正対象になります。

  • 寸法測定用ノギス・マイクロメータ
  • 圧力計、温度計、トルクレンチなど、製品特性に直結する機器
  • 製造ラインに組み込まれたセンサーや計測装置
  • 検査工程で使用する試験機器(検査成績書に記載されるもの)

2. 管理対象外(校正不要)とできる測定器

一方で、製品の品質に影響を与えない測定器は、校正管理の対象外とすることができます。
代表的な例として、簡易スケール・作業者の目安用ゲージなどが挙げられます。

ISO9001:2015(JIS Q 9001:2015) 7.1.5.1項(一般)
要求事項に対する製品及びサービスの適合を検証するために監視又は測定を用いる場合,組織は,結果が妥当で信頼できるものであることを確実にするために必要な資源を明確にし,提供しなければならない。
組織は,用意した資源が次の事項を満たすことを確実にしなければならない。
a) 実施する特定の種類の監視及び測定活動に対して適切である。
b) その目的に継続して合致することを確実にするために維持されている。
組織は,監視及び測定のための資源が目的と合致している証拠として,適切な文書化した情報を保持しなければならない。

この条文では、「結果が妥当で信頼できる測定を行うために、必要な資源を用意し、維持すること」を求めています。
つまり、品質に影響を与える測定器は維持(=校正など)する必要がある一方で、品質に関係しない器具については校正義務がないと解釈できます。

ただし、管理対象外とする場合も、誤使用を防ぐための明確な区分管理が求められます。
具体的には次のような運用が有効です。

  • 管理対象外であることを明確に表示(例:「管理対象外」「参考用」などのラベルを貼付)
  • 台帳や管理システム上で対象/対象外を区分して記録
  • 誤って検査などに使用しないための運用ルールを整備

このように区分管理を徹底すれば、ISO9001の要求事項を満たしながら、過剰な校正作業を防ぎ、現場の測定器管理をより効率的に運用できます。

3. 校正対象判定の実務的チェックリスト

校正対象を判断する際には、次のような観点が有効です。

判断基準校正対象の例対象外とできる例
製品品質に影響するか寸法・性能・安全性を左右する機器参考値・目安レベルの器具
測定結果を記録・証明に使用するか検査成績書・合否判定に使用作業者の目視確認用
顧客や規格の要求があるか顧客監査・規格で明記あり社内運用のみ

このように、「品質への影響度」「外部への証明必要性」「規格・顧客要求の有無」を基準に判断すれば、過剰校正を避けつつ、必要な信頼性を確保できます。

4. ISO9001監査でよく確認される点

監査では、校正の有無そのものより識別と区分が適切に行われているかが重視されます。以下は監査でよくチェックされるポイントです。

  • 校正対象の機器に対して、校正証明や履歴が確認できるか
  • 管理対象外の機器が明確に識別されているか(ラベルや台帳)
  • 誤使用を防止するための現場運用ルールが整備されているか

5. QCメイトMDを活用した効率的な管理

紙台帳や散在するExcelでは期限管理や識別作業の手間が大きくなります。QCメイトMDを導入すると、次のような利点があります。

  • 校正対象/対象外の区分登録が容易
  • 校正周期・実施履歴の自動管理で期限切れを防止
  • 全工場・拠点での機器台帳を一元化できるため、監査対応がスムーズ
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QCメイトMDは管理の効率化を目的とした一例です。導入前には現状業務フローとの整合や運用ルールの設計が重要です。

まとめ

ISO9001では、品質に関わる測定器のみを校正対象とし、それ以外は管理対象外として明確に区分することが許容されています。
重要なのは「なぜ対象にした/しないか」という判断根拠を示せることと、誤使用を防ぐための運用を確立することです。
QCメイトMDのような管理ツールを活用すれば、台帳管理・期限管理・監査対応が格段に楽になります。

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